2022年8月 22日
僕のアート才能は皆無未満(後編)
(前編から続く)
いくら努力してもこれを超える絵は描けなかったので、次に僕が向かったのは粘土のセクションである。粘度たっぷりの粘土を4分間ちぎったり固めたりしてできあがったのがこれだ。
もともとは太陽を作るつもりだったのだが、真ん中の丸と光線を5本くっつけた時点でもう少し工夫が必要だと考えて、光線を増やした。つい先ほど描画のセクションで、同じ”もの”を描いて同じ”工夫”をしたばかりだったことからしても、僕の想像力は絶望的に乏しいことがわかる。結局できあがったのは、太陽ともヒトデとも言えるようで言えない、極めて不気味な品物だ。
友人の5歳の息子がこれを見て「これ、なーに?」と聞いてきたので、僕は壁に貼り付けてある看板を指して、その質問は禁句であると叱咤した。
5歳の子に芸術のセンスを否定された僕が最後に向かったのは、木のブロックのセクションである。既に形になっているものを組み立てるだけなら僕でも出来るはずだと意気込み、9分間頑張ってできたのがこれだ。
これを見た5歳の子に「ロボットを作ったの?」と言ってくれたのは嬉しかった。意図してるものが表現できたのは、これが初めてである。
他方で、このロボット、僕がイメージしていたものとは程遠い。顔は目と耳をちゃんとつけられたのでそれっぽくなったが、腕が耳と同じ大きさになっちゃったことが気になる。さらには、何度組み直しても顔が胴体の右半分に寄ってしまい、足にするブロックもスキー板のようなものしか見つからなかったので、結果、ロボットといってもドラえもんより不良なものしかでき上がらなかった。
こうして僕は、クリップのすべてのセクションを15分で制覇し、残りの1時間45分の間、センスのなさを友人と5歳児に笑われ続けていた。