僕のアート才能は皆無未満(前編)
将棋、スポーツ、そして法律。僕に才能がないものをリスト化していったらきりがないが、その中でも筆頭にくるのが”アート”である。
そんな僕なのに、何を気が狂ったのか、友人の家族と共に「築地クリップ」というところに行くことになった。「子供がクリエティブに遊べる」ことをテーマとしているクリップですることは、絵の具で描いたり、粘土で作ったり、木のブロックで組み上げたりと、僕にとってこれよりの場違いな場所はない。
恥をかくことを覚悟しながらビクビク店に入ったら、誰の目にも入るところにこんな看板があった。
アート音痴としてはどれもが共感できるメッセージだったが、周囲の人には特に「他人と比べない」の部分を強調したいところであった。
さて、僕が最初に向かったのは水彩絵のセクションである。パレットを手に青と赤と黄色の絵の具をもらい、筆に水をつけて2分間ぺちゃぺちゃしてできあがった絵がこれだ。
あまりにお粗末なのでちょっと解説すると、まず左上にあるのが雲である。なぜ青色の雲なのかというと、通常は青い空に白い雲があるところ、白い紙に白い雲をどのように描いたらいいのかわからなかったので、それなら白い空に青い雲を描こうとの発想に至ったのだ。
右上にあるのは太陽である。太陽を黄色い丸として描いたところでやめればよかったのに、それだけでは芸術さがないと思って赤色で光線を追加したら、超新星のようになってしまった。
右下にいるのは、爆発する太陽のせいで破滅の運命にいる僕である。顔はないが、髪の毛(赤)および手と足(青)があるだけでも、僕が描いたにしては上出来な”人間”だ。
左下にあるのは車である。好きなJeep Wranglerを描こうと思ったのだが難易度が高すぎて、車輪が二つしかないダットサンになってしまった。なお、中に見える黄色いスプーンみたいなのは、乗車してる僕の家族である。
すべての絵にセンスがないこともさてながら、そもそも色の三原色の原理がわかってないので、僕が描く世界には青と赤と黄の色しか存在しない。さらには、水の適切な分量もわかってないので、色が滲んで何もかもがゾンビ化している。
(後編に続く)