2020年6月 15日
コロナで目覚めたヘボ料理(後編)
(前編から続く)
さらには、豚に真珠なのにいい食材に拘ったりする。
僕のアパートの目の前に年配夫婦がやってる肉屋がある。今の住居に引っ越して4年弱。僕はここで麻婆豆腐用の豚のひき肉しか買ったことがない。
ところが自粛するようになってからは、牛や鶏、薄切りや厚切りなど、急に買い物のレパレトリーが増えるようになった。初めて豚のひき肉以外を注文した時、おじいちゃんは「え、薄切り?」と二度も聞き返してきたが、最近は2日ごとぐらいの頻度でお世話になってるので「いつも有難うございます」とニコニコ笑いながら対応してくれる。まさか、店の自慢の厚切り牛肉カルビが、匂いを嗅げばブタもそっぽを向くような青椒肉絲に化けているとは夢にも思っておるまい。
このように僕の料理の課題は味だが、最大の悩みは実は量である。改めて思うが、僕は食べ過ぎだ。
例えば八宝菜を作る際の材料は、白菜1つ、しいたけ2パック、たけのこ1つ、人参1本、イカとエビ1パックずつ、豚肉150グラムだ。ここまで量があると下ごしらえするだけで一苦労で、炒めるのにもとにかく時間がかかる。できあがる頃にはクタクタになって、食べる気力が残っていなかったりする。
こうした経験を通じて痛感するのは、僕を食べさせていくことの大変さである。僕は日頃からエンゲル係数の高さを嘆いているが、料理してる方からしたら、僕みたいなどか食いからはいくらもらっても足らないだろう。
ということで、僕のために料理をしてくれる家族、友達、そしてお店の人に感謝の気持ちを伝えたい。
いつも僕に、味のある食べ物をたくさん作ってくれてありがとう。