2019年5月 27日
最近よく見かける、「得意な英語を聞かせたい」症候群(前編)
最近、地下鉄に乗っていたら「おや」と思うことがあった。
車掌が英語でアナウンスを行なったのだ。
特に外人利用者が多い銀座線でもなければ日比谷線でもない、都営三田線。アナウンスの内容は、日本あるあるの、誰も求めていない、なくても誰も困らない「この先揺れますので、手すりにしっかりおつかまりください」レベルのもの。
英語アナウンスがあったのは、要は、単に車掌が英語を話したかっただけだと思われる。帰国子女だったのか、確かに発音のいい英語であった。他人に開かせたくなるのも頷ける。
どうやらとうとう、地下鉄の車掌までもが「得意な英語を聞かせたい」症候群に感染されたようである。
実は、近年、割と多くの日本人パイロットがこの病気にかかっているのだ。
たとえば、全日空のニューヨーク便。離陸後のコックピットからのアナウンスは概ね同じパターンである。まず、パイロットが日本語で乗客を歓迎してくれ、予定される到着時間と到着地の気候を教えてくれた後、乱気流が想定される場合はそれに関する注意事項を説明した上で、快楽な旅を祈ってくれる。
次に続くのが外人の乗客に向けてのアナウンスだが、これは英語で「welcome」と始まった後、到着予定時間以外の詳細は全てはしょられ、「enjoy your flight」とさっさと切り上げられてしまう。この英語の部分は2000年代まではあまりにひどい発音で何を言っているのかさっぱり分からないことが多かったが、最近では何とか聞き取れるぐらいにまでマシになっている。
(後編に続く)