嫌味のひとつも言いたくなる、メガバンクの名称と見栄と派閥争い
4月1日に「三菱東京UFJ銀行」が「三菱UFJ銀行」に変わった。この事に違和感を感じているのは僕だけではないだろう。
名称を短縮させたかったのなら、削るべきは「UFJ」である。
そもそも、名門財閥である「三菱」を看板に掲げる国内最大手の銀行が、訳の分からない「UFJ」を従来から名称に含めていたこと自体がおかしいのだ。ある銀行員から聞いた話によると、「UFJ」の由来は、三和銀行、東海銀行、太陽信託銀行が2001年に経営統合した際、新銀行名を国際的にしたいという頭取の意向で「United Financial of Japan」の頭文字を取ったことによるらしい。国際的になりたかったわりには「United Financial of Japan」が文法的に間違っていることが滑稽だが、それにしても、頭文字を正式名称とするところにセンスが欠けている。そしてそのダサさを「東京銀行」の名称を犠牲にしてまで継承するというのだから、現在の三菱UFJ銀行の感覚も疑いたくなるものである。
もっとも、緑の銀行みたいに財閥が見栄にこだわるよりはマシかもしれない。
現在の三井住友銀行は、2001年のさくら銀行と住友銀行の経営統合から発足している。前者は元々「太陽神戸三井銀行」という金魚の糞みたいな名前だったのだが、それがさすがに恥ずかしくなったのか、数年後には「さくら銀行」への商号変更を行なっている。ところが住友銀行に吸収合併されることになると、10年以上も使われていなかった財閥名称「三井」が復活したわけである。
利用者からすればどうでもいいこの財閥の意地は他の面でも現れている。「三井住友銀行」の英語表記は「Sumitomo Mitsui Banking Corporation」。つまり日本語と英語で「三井」と「住友」の順序が逆になっているのだ。要は「対等の精神」の下に経営統合を行なったので、住友側が日本語名称で譲り、三井側が英語表記で譲り、お互いが国際的な利用者には譲らず迷惑をかけることにした、ということなのであろう。
ちなみに、赤い銀行も従来は同じようなことをしており、「三菱東京UFJ銀行」の英語表記は「The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ」であった。それがこの度の商号変更に伴い英語表記が「MUFG Bank」に変わっている。したがって、三菱UFJ銀行も引き続き日本語と英語の名称が異なるのだが、今回は「Mitsubishi」が国外では馴染みにくいという点を踏まえ海外でも覚えやすい表記にしようとした努力が評価に値する。
一方、未だに全く評価できないのがみずほ銀行である。
みずほ銀行の歴史は2000年に第一勧業銀行、富士銀行と日本興業銀行が合併したことに遡るが、この経営統合が派閥争いのせいで利用者に迷惑しかかけてきてこなかったことは周知の事実である。派閥問題は2013年にみずほ銀行とみずほコーポレート銀行が合併したことでようやく解消への一歩を踏み出した思われるが、その頃みずほが発表した新しいスローガン「One Mizuho」を見て僕が感じたのは、「何を今更」である。10年遅れて一致団結を誓うのも結構であるが、利用者を代表して言わせてもらうと、とにかく自らの派閥政治のツケを僕たちに回さないで欲しい。
ちなみに、みずほ銀行は今年6月から1年間かけて新勘定システムに移行するらしい。3~4年に一度の頻度でお約束のように金融庁から業務改善命令を受けるこの銀行が最後に行政処分を食らったのが2013年。そろそろまた問題を起こすタイミングだと思うと、再来月から給料がちゃんと引き出せるのか不安でたまらない。