十五歳の僕への手紙
アンジェラ・アキの「手紙~拝啓 十五の君へ~」を聞いて思った。僕なら十五歳の自分にどんな手紙を書くだろう、と。
拝啓
この手紙を読んでいる君は、今どこで何をしているのだろう。
たぶん宿題に追われ、塾に通い、限られた残りの時間はテニスでもしているのだろう。
でも今の自分だから言えることがある。
十五の君がしなければいけないのは、学校や塾が中心の毎日を生きることだけではない、と。
もちろん、学校の勉強も重要だ。数年後に「踏襲」を「ろしゅう」と読んで恥をかかなくて済むように、今の君はもう少し国語の勉強をした方がいい。
それでも、少しは大人になった僕がまだまだ子供の君に伝えたいのは、人間、面白みが重要だ、ということ。
そして、面白みのある大人になれるように、今の君には好きなことを徹底してほしい。
実は君は既に恵まれている。同年代の友達と比べて君はだいぶ興味津々なのだ。そういう興味を徹底してみよう。
株が好きなのだから、成人になるのを待たずに貯金した小遣いすべてを株につぎこもう。
運動神経がないくせにスポーツが好きなのだから、スポーツをしなくても徹底できる方法を探ろう。
政治が好きなのだから、地元議員の事務所に寄って話を聞いてみよう。彼の仕事が面白いと思ったら、自分でやってみよう。君が被選挙権を得るのはたった3年後。
大人が「あそび」だと思うようなことでもいい。ドラクエが好きなのだから、シリーズ全作をクリアして、そのあとFFとテイルズを制覇して、3大RPGを徹底的に分析してみるのもいいかも。ストーリー性や登場人物の面白味が重要という面でRPGは映画のようだけど、ITも関連している。RPG制作の世界は奥が深そうで、いくらでも深掘りできそうだ。
学校や塾以外の事に大半の時間を費やし始めたら、両親は間違いなく反対するだろう。「少しぐらい勉強をしなさい」とかなんとか言いそうだ。でも、あの人たちの反対を押し切ってやりたいことを貫く強さも今の君には必要だ。
親というのは子供には常に安全の道を進めさせたがるもの。いい成績を取って、一流大学を卒業して、大企業に就職して、高級取りになる、というのが親の子供に対する「夢」だ。無事な人生を送るのも重要だろうけど、石橋も叩きすぎると崩壊する。橋を渡らなくては、向こう側にある面白い世界が見られない。
そう、ぼくが君にやってほしいのは、学校という小さな世界から抜け出した「挑戦」だ。
「挑戦」には失敗や挫折が必ず伴う。株の投資に失敗するかもしれない。政治には向いていないと気付くかもしれない。芸術的な才能もプログラムの能力もないことを悟るかもしれない。
でも、壁にぶつかることは悪いことではない。失敗したからこそ新しく見えてくることがある。成功は気持ちがいいかもしれないけど、教訓にはならない。
15歳の君は「失敗したら」なんて心配する年齢ではない。
苦労すればするほど為になる年齢だ。