米国銃社会の恐ろしさ、ウォルマートで実弾を購入して学ぶ
これは、米国南部にあるテネシー州にピストルを持って旅行に行った時の体験談の後編。前編はこちら。
僕はニューヨークから持ってきたピストルを手に、友達のサムはベッドサイドに置いてあったピストルを手に、サムのおじいちゃんの家に向かったのだが、途中、近所のウォルマートに寄り道をした。僕がサムに銃弾をニューヨークから持ってこなかったことを伝えたら、「それならウォルマートで買うのがいい」という話になったのだ。
このウォルマートで僕は、本当の意味での米国銃文化の恐ろしさを知ることになる。
まずは銃器売場が衝撃的だった。ライフルから拳銃、さらには機関銃など、ありとあらゆる銃がスーパーで売られているのだ。日本どころかニューヨークでさえも見られない光景を目にして、「なるほど、これが南部か」としみじみと感じた。
銃器の品揃えに圧倒されながら売場の店員に声をかけたら、一番安い弾でよければ200発で$26ドル(約2900円)だと言われた。破格の安さにびっくりしたが、9mmのピストルとは所詮大した銃ではないということなのだろうと思い直した。というのも、サムから聞いた話では、近くの米国陸軍基地では銃弾の料金だけ払えばどんな銃でも撃たせてくれるらしいのだが、そこでの1発は最低5000円はするらしい。
ウォルマートで驚かされたのは銃弾の値段だけではなかった。
安くても、大したことはなくても、実弾は実弾である。購入には当然のことながら銃購入免許の提示が求められると思っていたのだが、結局それはなかった。ところが、会計の際にカードで支払いたいと伝えたら、なんと身分証明書を提示するよう求められたのだ。僕の銃購入免許は記載されている名前が間違っているので身分証明書の役割が果たせず、仕方なく運転免許書を見せることにした。銃弾を購入しているのに、銃購入免許書が役に立たず運転免許書が必要になる現実に対してどう考えたらいいのか、日本生まれでニューヨーク住まいの僕にはさっぱりわからなかった。
ウォルマートで無事銃弾を補給した後、サムのおじいちゃんの家に到着。裏庭に出ると大きな田んぼがあり、確かに射撃の練習にはうってつけだった。
真夏の晴天の下で汗をかきながら射撃するのは期待していた以上に気持ちが良かった。射撃場だとひどい反響も、周囲に何もない田んぼであれば全く気にならない。暑くなれば日陰の下で喉を潤わせながら、久しぶりに会って当分会えなくなるであろう友人と語り合うのは、何とも幸せな片時。
2〜3時間サムと射撃を続けたものの、さすがに200発全てを撃ち尽くすのは無理だった。余った弾をニューヨークに持って帰るのも面倒だったので、空港に向かう途中、射撃場に寄って残りの40発を撃ち尽くすことにした。そこではちゃんと僕の銃免許書と身分証明書が確認され、ウォルマートでの体験がまだ記憶に新しかった僕は、変な安心感を抱いた。
射撃場ではきちんと標的を貼って射撃。サムと体験した外での射撃ほど気持ちはよくなかったが、出来はまあまあ。
最初の20発はこんな感じ。
そして次の20発はこんな感じ。
よく見るとわかるが、2回目の20発の方がちゃんと中心に集中している。
この2週間後日本に引っ越したのでこれが僕が最後に拳銃を撃った日となり、銃購入免許取得や研修から始まった米国銃社会の体験は終了した。