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この物語はフィクションであり、主人公である佐久沼條治の名称および性格と立ち振る舞いが著作者のものと瓜二つであることは、すべて偶然です。
(まずは第一弾である「佐久沼條治という、ある迷惑男の話」からお楽しみください)
「あの、今ちょっとよろしいでしょうか」
下を向いて契約をレビューしていた左飛道(さひみち)レヌは、声をかけたのが誰なのかすぐに分かった。顔を上げると、案の定、井馬(いま)まさゆが不甲斐ない顔をして立っている。
3年前の自分も終日似たような表情をしていたことを思い出し、自分もずいぶんたくましくなったものだと、自分を褒めたくなった。
「どうしたの」
そんな表情をしなければならない根源など一つしかないのだが、とりあえず聞いてみる。
「この前の出張の経費を清算しようと思って、佐久沼先輩にこれを渡そうとしたんですけど。。。」
最後には聞こえないほど声が小さくなってしまったので、レヌはまさゆの手元に目をやる。そこにあった領収書をみて、瞬間的に何が起こったのか理解した。
「そのしゃぶしゃぶ食べ放題い温野菜の領収書を、あの人に渡そうとしたのね」
徹夜と言えば、カラオケを思い出す。前職での最も懐かしい思い出は、朝4時まで同僚とカラオケで歌いほうけたこと。救いようがないほどの音痴でも、ここまで歌うことが好きなら睡眠<音楽と言えるだろう。
このブログの熱烈なファンならご存知のはずだが、僕はありとあらゆる趣味を持っている。
僕にとって大切なものをざっとリスト化すると、こんな感じか。
まだ新人だったある土曜日、当時の上司が朝7時から15分ごとにメールを送ってきたことがあった。僕からの回答がないことにしびれを切らしたのか10時半には電話までかけてきたが、そもそも携帯を寝室に置いていなかったので、僕がメールに返事をすることはなかった。
14時に起きた頃には上司の激怒したメールと留守番電話が複数待っていたが、これらもシカトしたら、ようやく僕のポリシーを理解したようである。その後、彼が僕の週末の朝を邪魔してくることは一切なかった。
こうして通常は無茶なことを言ってくる元上司でさえ僕のポリシーを学んだのだが、こんな簡単なことが未だに理解できていない非常識人間が僕の周りにはまだたくさんいる。
ゴールデンウィーク10連休中の目標を一言で挙げるとしたら、「睡眠」だ。
もっとも、これは通常の目標と変わらない。僕はありとあらゆる興味に明け暮れる毎日を過ごしているが、実は僕が食事よりも将棋よりもフライトシミュレーターよりも好きなのが睡眠である。
僕は世にも稀な成田空港派だ。海外出張の際、羽田空港発と成田空港発の便の選択肢があれば、迷いなく成田発を選ぶ。
理由は、フライトシミュレーターである。
僕がフライトシミュレーターにはまるようになったきっかけは、以前に書いたことがある航空事故検証ドキュメンタリーだ。この番組から学んだ様々なパイロットミスに関する知識を周囲にひけらかしていたら、友人の一人が数年前、本物のボーイング737のコックピットで元パイロットの指導の下フライトシミュレーターを体験できるという誕生日プレゼントをくれた。