お金の仕組みを最大化してる米国のwhole life insurance(前編)

前編から続く)

③ 保険料の前払い

月額の保険料は前払いすることができ、前払いすると保険料が割り引かれる。なぜ保険会社が保険料を割り引いてくれるかというと、前払いされた期間中、保険会社は前納された保険料を資産運用して増やすことができるからである。市場の金利が高ければ高いほど割引率は高くなり、前払いする期間が長ければ長いほど割引額は高くなる。

④ 貸付

毎年増えていく「解約払戻金」は引き出さない限り課税されないが、貸付を受ければ引き出す時も課税されない。

借りたお金が課税されないのは住宅ローンと同じであるが、住宅ローンと大きく異なるのは、whole life insuranceからの貸付は生涯返済しないつもりで借りる点だ。もちろん、借金である以上いずれは返済する必要があるが、返済は死亡後に保険金と相殺される形で実施される。見方を変えると、「死亡保障」を犠牲にして、「利益」に対する税金を避けるのである。何よりこれがwhole life insuranceの資産運用の意味合いを強くしている。

貸付には利息が発生するが、購入時から何十年も経っていればwhole life insuranceは大きな「利益」を出しているはずで、保険を解約し「利益」全額に対して税金を払うより、必要な金額だけ貸付を受け「利益」から利息を切り屑したほうが経済的に効率がいいのだ。

【日本でもwhole life insuranceのような資産運用はできる?】

僕はwhole life insuranceの「貯蓄・運用」の強みを最大限に活かしている。まず、保険の購入時に「死亡保障」より「貯蓄・運用」の比率を高め、頻繁に上限まで「払済増額」を購入し、ボーナス等で複数年分の保険料を前払いしてきた。おかげで、10年未満で「解約払戻金」が払い込んだ保険料を上回る「利益」状態に達し、今後は複利の影響でその「利益」が急増していく。そして、現金を引き出す時には貸付として受け取ることで利益に対する課税を避けるつもりだ。

日本でもwhole life insuranceと同じようなことができないか調べて見たところ、難しそうだった。

「死亡保障」より「貯蓄・運用」の比率が高くなるよう保険を設計することは日本の運用型生命保険でもできるが、whole life insuranceの肝である「払済増額」は日本の保険にはない概念である。さらに、保険者貸付は概念としてなら日本にもあるが、実際には貸付がない商品が割と多い。

もっとも、貸付を受けられたとしても、日本ではそれが有効な節税対策となるか疑わしい。理由は、低金利である。保険の利回りが1%である日本の生命保険は「解約払戻金」が一向に増えないので、貸付の形で現金を引き出すと利息が利益を食い潰しかねない。年間4%の配当利回りが大きな利益を生むWhole life insuranceの場合、利益に対する税金を払うより利息を切り崩していった方が得になる計算が成り立つのだが、微々たる利益しか出ない日本の生命保険の場合、利益が利息に食い潰されるより税金を払ったほうがましとなる。

低金利は保険料の前払いにも影響を及ぼす。日本でも前納するオプションを提供している保険会社があるが、低金利なので大した割引は期待できない。

日本の低金利は、保険を通しての資産運用にも大きな影響を及ぼしていると言えるだろう。

 
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