お金の仕組みを最大限に活かしてる米国のwhole life insurance(前編)

僕は貯蓄の多くを保険で運用している。アメリカに住んでいた頃に購入した保険はお金の仕組みの面で勉強になるので、解説してみることにした。

この保険は「whole life insurance」と呼ばれる保険。名目上は保険だが、この商品は資産運用の目的で購入されることが多く、死亡保障はあくまで二次的なベネフィットとして考えられている。資産運用なので、保険を解約したら支払われる「解約払戻金」をなるべく増やしていくのが目標となる。

僕のwhole life insuranceには次の要素がある。

  • 一生保障が続く終身生命保険
  • 保険料は定額で、払込期間は30年
  • 保険料を前払いすると割引される
  • 年間4%の配当利回りが保証されており、保険会社の運用実績によってはそれを上回る
  • 配当金は「払済増額(Paid-up addition)」の購入に使われる
  • 「払済増額」を自腹で購入できる特約が付帯されている
  • 「解約払戻金額」の増加分(利益)は課税されない
  • 「解約払戻金額」を上限として、無課税の貸付を受けることが可能

「払済増額」とは日本の生命保険の「払済保険」と概念が大きく異なり、ベースの保険に追加する形で購入する保険のことを指す。ベースの保険と「払済増額」の保険の違いは、前者は30年間に渡って保険料が払い込まれる一方で、後者は購入時に保険料がすべて支払われる点だ。

Whole life insuranceが資産運用として優秀である4つの要素を一つずつ見ていこう。

① 保険の構成

保険料は「死亡保障」である保険金と「貯蓄・運用」である解約払戻金の2つに充てられるが、ベース保険の購入時に構成比を調整することができる。「死亡保障」の比率を高くすれば保険金が増えて解約払戻金が減り、「貯蓄・運用」の比率を高くすれば解約払戻金が増えて保険金が減る。

資産運用が目的である以上「貯蓄・運用」の比率をなるべく高くしたいものだが、米国の税法上、「貯蓄・運用」分の比率が高すぎると利益が課税され、普通の投資と変わらなくなってしまう。つまり、whole life insuranceはあまりに資産運用の節税対策として活用されることが多いため、税法が商品の「保険」の性質を維持するための規制を設けているのだ。

② 払済増額

資産運用が目的である以上、保険がいつ利益を出すのか、つまりいつ「解約払戻金」が払い込んだ保険料を上回るのかが極めて重要なポイントとなる。通常、この期間は(「死亡保障」と「貯蓄・運用」の比率によるものの)10年前後だが、「払済増額」を購入すると期間が短縮される。理由は、「払済増額」の購入時に払い込まれる保険料の大半が「貯蓄・運用」、つまり「解約払戻金」に充てられるからである。

「払済増額」の保険は毎年分配される配当金で購入されるが、(税的な上限に達していない限り)自腹で購入することもできる。自腹で購入できる「払済増額」は配当金で購入する「払済増額」より遥かに額が大きいので、任意で「払済増額」を購入することで「解約払戻金」が大きく増え、損益分岐点が訪れるのがぐっと早めることができる。

(後編に続く)

 

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