米国を参考に、日本のプロ野球はチケット代を大幅に値上げすべきではないか(後編)
(前編から続く)
もっとも、1つの球団として放映権の収入を増やすとしてもできることに限界がある。だが、ブレーブス(約6割)もファイターズ(約7割)も大半の収入をチケット代やスポンサー料といったスタジアムに来てくれるファンから得ており、ここに球団の力で改善できる余地を見出せそうだ。
そこで、チケット・スポンサー料・飲食からの収入に焦点をあててみる。このカテゴリーのブレーブスの売上(約480億円)はファイターズ(約175億円)の2.7倍。この売上はホームスタジアムのキャパ(ブレーブスは4.1万人、ファイターズは3.5万人)に影響を受けると考えられるので、売上を試合数とスタジアムの大きさで調整すると、ブレーブスはスタジアムに訪れるファン1人1試合当たりファイターズの2倍以上の売上を上げていることになる。
ここで気になるのがチケットの価格だ。
ファイターズの指定席のチケット代は全試合一括しており、3500円から27,000円のレンジから選べる。他方、ブレーブスは対戦相手によってチケット代が異なり、$10ドル(約1400円)から$566ドル(約8万円)と大きな幅がある。特に注目したいのが最上級のチケット代。217ドル(約3万円)のようにファイターズ並みの試合もあれば、$556ドル(約8万円)のようにファイターズの3倍もする試合もある。
日本のプロ野球でも、試合の日時や対戦相手、天候や過去の実績などの要素に基づいてチケットの価格が変動するダイナミックプライシングを導入している球団が出てきている。この仕組みのおかげでオリックスは収入が14%増えたようだが、ダイナミックプライシングを導入しているチームのチケット代を見ても、試合によって同じ席の価格は数10%しか違わないように見受ける。
需要が高いなら値上げすべし、というのは経済の基本だ。観客は十分入っているので、日本のプロ野球は人気が高い試合の高級席の価格を大胆に値上げしてみてはどうだろう。または、メジャーリーグのように、シーズンチケットの販売を重視するのもいいかもしれない。
そうすればもう少し日本のプロ野球もメジャーリーグ並にファンをマネタイズできて、選手の年俸も上げられるのではないだろうか。