コンプラ問題を抱えてる会社の矛盾(前編)

フジテレビの中居正広問題。その騒動を横目に僕が感じたのは、フジテレビのコンプライアンス体制がまったく成り立っていなかっただろうということである。

その証は、会社の誰もがこの出来事についてコンプライアンス室、ましてや法務部に報告しなかった事実にある。社員全員が、事案を握りつぶしかねない社長への報告で十分責任を果たした考えたこと自体が問題だ。

僕の経験上、コンプライアンスに関する問題は規制やルールの有無ではなく、企業風土と社員のマインドセットに帰属する。したがって、大きなコンプラ問題を抱えてる会社は問題を繰り返すし、コンプラ問題がない会社は常に問題を起こさない。

このことは大きな矛盾をもたらす。

法律事務所で働いていた頃、僕は度々コンプライアンスに関して相談を受けていた。特に有事でもないのに相談してくる会社は、常時金と時間をかけてでも外部の専門家に意見を求めてコンプライアンス体制を改善すべきと考えていたので、もともとコンプライアンス意識が高い。よって、相談を受けても大きな問題が発覚することはまずなかった。

反対に、有事になって初めて相談してくる会社は、そもそもコンプライアンス意識が歪んでいるので、形式的なことしか確認しなかったり、肝心な事実を明かさず相談したり、アドバイスを都合よく解釈する。コンプライアンス体制自体について意見を求めることはなく、実際に体制を調べてみると問題だらけだったりする。

つまり、コンプラ問題には、専門家に相談すべき会社は相談せず、相談してる会社は相談するまでもないという矛盾が潜んでいるのだ。

似たように、「コンプラ違反だ!」としょっちゅう騒ぐ人こそパワハラ等を行っており、「コンプライアンス違反になるかもしれません」とたまに相談に来る人こそ十分セーフな範囲で行動している。

(後編に続く)

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