エコノミークラスの有料食事から学ぶモノの価値(後編)

(前編から続く)

僕はニューヨークに行くときマイルを使ってビジネスクラスで飛ぶが、これの正規価格はなんと往復52万円である。

単価で考えると恐ろしく高い。東京〜ニューヨークの飛行時間は往復26時間。ビジネスクラスの単価は2万円である一方、エコノミークラスなら5000円。エコノミークラスもビジネスクラスも行先に到着する時刻は変わらないのに、後者の客には4倍もの料金を払う価値があると思わせられるビジネスモデルはすごい。

もっとも、ビジネスクラスにはエコノミークラスにはないサービスが多くあるため、たまに大金を支払ってでもビジネスクラスを経験したくなる客がいるのは理解できる。

理解しがたいのが150万円もするファーストクラスだ。

待たずにチェックインできることも、ラウンジでがめつくことも、早く搭乗できることも、おいしい酒を無限に飲めることも、すべてビジネスクラスでも経験できる。ビジネスクラウスとの差をつけるためには、ファーストクラスの料理に思いっきりキャビアを乗せるくらいしかないだろう。

キャビアのために1時間6万円も支払う人に会ってみたいと思っていたら、最近、友人が日常使ってるカバンがニューヨーク便のファーストクラス並みの値段がすることを知った。僕は「物を運ぶ」という機能のために数千円のリュックを使ってるので、彼のカバンはファーストクラスよりずっと理解不能だった。

友人にそれらしきことを伝えたら、「そんな時計を着けながらよく言うよ」みたいな顔をされた。

なるほど。

確かに、僕が自慢げに両腕に着けてる時計は、所詮はスワッチと同じく「時刻を示す」ための器機に過ぎない。

結局は、僕の腕時計も、友人のカバンも、ニューヨーク便のファーストクラスも、エコノミークラスの特別な食事も、買い手が見出すからこそ価値があるのだろう。

モノの価値というのはそういうものなのだ。

 

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