最終学歴卒園の国際弁護士、中学校受験に挑む〜受験の巻〜(後編)
(前編から続く)
ここまで理科のできが悪いと、灘中学校の合格は算数にかかってしまう。
最初の問題は方程式。これはちゃんと解けたが、簡単な計算問題が1問目として出題されるのは受験者を油断させるための罠であることを、僕は高校入試でちゃんと学習済みである。
そこで丁寧に残り12問に目を通すと、なんと図ばかり。円、三角形、四角形しか出てこないのは計画通りだが、問題は、三角形を二つくっつけるだの、円の中に三角形を入れるだの、二次元のものをよくここまでごちゃごちゃにできるものだと感激してしまうほどにややっこしい。
方程式を解くのに10分もかけてしまったので、そもそも12問全てを解く時間が残ってない。よって、図が現れる問題をまずはすべて捨てる。そして、「A君とB君が円型の池を逆方向に歩いて一周します」といったわけのわからない設定の問題を無視する。
その結果、回答用紙はこんな感じ。記入できた分は正解である自信があるが、それにしても空欄の多さが目立つ。半分も解けてなくては、30点台が精一杯だろうか。
こうして終えた初日時点で、すでに結構やばい状態である。これでは2日目の国語と算数の双方がほぼ満点じゃないと合格できない。この綱渡り感、高校入試の時と似ている。
二日目も国語から。
すべて読解なのだが、問題は「著者はどう理解したのですか」とか「著者がそのように述べるのはなぜですか」とか、そんなことを知るぞは著者のみ、と答えたいものばかり。
とはいえ、回答欄の広さからして求められている回答は「著者に聞くべし」ではなさそうなので、問題の「著者」を「僕だったら」に置き換えて回答する。
そうしたら回答用紙がそれらしい内容で埋められたので、120点満点中100点は夢ではないと考えたい。
そして最後の算数。
もう引くに引けないわけだが、冒頭の指示を読んで絶句。「答え以外に文章や式なども書きなさい」という指示は、明らかに、あてずっぽう回答まぐれ正解防止策である。
さらに、問題の設定は、どこかの誰かさんが注水用のホースで水を入れるのと同時に排水用ホースで水を出すやら、A君・B君が今度は正方形の街をうろうろするやらと、あまりに意味不明な文章が長々と続き、目が回る。
算「数」の問題であるはずがなぜか数字が現れないこの理不尽さ。はるか昔に受けた抽象代数学の授業の悪夢を蘇らせる。
とはいえ、中卒の学歴がかかっている以上、60分間白昼夢を見て終わらすわけにはいかない。逃げ出したくなる気持ちをなんとか抑え、各問題を辛抱強く読み返したところ、食塩水に関する問題だけは解けそうだったので、頑張ってみる。そして、それを解いているうちに時間が切れる。
最終的な回答用紙はこんな感じ。
裏には回答のみを記入すればよかった欄もあったので、適当に埋めておいた。
算数2日分の空欄の多さだけで不合格確定のような気がするが、とりあえず採点だけはしてみる。
採点の結果は、採点の巻のお楽しみ。
ダメだ、こりゃ。