コロナで目覚めたヘボ料理(前編)

コロナ騒ぎで自粛するようになり、僕の生活で一つ大きく変わったことがある。

料理に目覚めたのである。

もともと僕は料理が嫌いなわけではない。単に、普通の生活をしていると、料理をする機会がないだけだ。

実際、僕は昨年、家で通算100回も食事をしていないのではないかと思う。平日だと朝食は食べないし、昼は職場でとり、夜は仕事に追われての出前か友達との外食だ。週末だと、昼を食べるくらいなら寝坊したいし、夜はリア充なので家にいない。

そして、たまに家で食べるときは、大好物の麻婆豆腐か、冷奴と刺身3品と納豆のコンビと決まっている。

しかし、緊急事態が宣言され、外食したくても店が空いてない状況になってからは、さすがにこのツーパターンに四日目で飽きた。すぐに台所に眠っていた調理器具のことを思い出し、いろいろな食べ物にチャレンジしてみることにした。

とはいえ、何年ぶりかの料理である。ピーマンに種なんてあったっけと首を傾げたり、玉ねぎを剥き続けたら何も残らなかったり、人参を皮のまま炒めたりと、僕が料理をしてる姿はとてもじゃないけど他人には見せられない。

そんなザマだから、ましな食事ができあがるわけがない。数週間前に作ったトマトソースなど、味がなかっただけまだましだ。「無味」は「不味い」よりだいぶ格上なのだ。

要は、僕の料理は僕のヘボ将棋のレベルなのである。

料理のセンスがないとどうなるかというと、調味料で味をなんとかしようとする。肝心な塩は使わないのに、中華料理ならチリソースだろうと豆板醤と甜麵醬を混ぜてみたり、違いが分からないくせに料理酒とみりんを揃えてみたり、使い道がないのにバージンオイルとバルサミックビネガーを買ってみたりする。

後編に続く)

 
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